電話応対中にお客様から「上司に変われ」と言われてしまった事はないでしょうか。通常の案内をしても納得されず、あんたじゃ駄目だから、上司に代われ …となってしまったことが私もあります。マニュアルに従って、こういう場合はこうです…と説明しても聞き入れて頂けずに、御自分の希望通りになるまで引き下がらないお客様が、結果的に受付者との間で押し問答を繰り返し、最終的に「上司に代われ」とおっしゃる事があります。しかし全く「上司に代われ」と言われない同僚もいます。いったいどこが違うのでしょうか?ちょっとした、でもとても重要なコツがあるのです。
最初から何らかの不満をもってご立腹気味に電話をしてくるお客様は、元々決まっているルールに納得しない事が多いのです。変えようがないルールに苦情を言うお客様に対して、『はぁ、何で私がこのお客様に当たったの?もうめんどくさい。そんな事私に答えられるはずないじゃない。早く担当部署に丸投げしちゃおう』と思いながら応対したらアウトです。お客様の不満に対して反応や共感を全くせずに、お詫びと出来ない(ルール変更出来ないor私では回答出来ない)を繰り返すと、どんどんお客様の怒りを買って深みにはまっていきます。申しわけありませんと詫びても、お客様の心には自分の苦しみをわかってくれない事に対して不満がたまっていきます。そこで「上司に代われ」と言われてしまうのです。
受付の冒頭で、お客様の不満をオウム返しで確認し、共感し、いたわりの言葉を投げかけると、お客様の感情はだいぶ違ってきます。私は実際この手法を何度か試してみました。するとかなりの確率でお客様を怒らせることなく、上司に代われと言われる事なく受付を円満に終了する事が出来ています。お客様から不満やアクシデントを聞いたら、オウム返しをして確認し、共感し、いたわりの言葉をかけ、不満やアクシデントの原因となった事に対してお詫びをする事がもっとも大切なのです。そしてこの共感を示すタイミングは必ず受付の冒頭でなければいけません。お客様を怒らせてしまってからでは不自然ですし、押し問答になってから、共感を示すなんてほぼ不可能です。「応」という漢字には「心」が入っています。お客様の心情に配慮し、共感を示す事が何より大切だという事ではないでしょうか。電話応対の場面では、心情に配慮している事を、声と言葉でしっかりと表現しなければいけません。時には演技力も必要です。共感したり、いたわりの言葉をかける事が苦手だったり、恥ずかしがったりして省略し、用件の受け答えだけに終始すると、思わぬ方向に話しが発展してしまい、お客様をご立腹させてしまいます。お客様の不満やアクシデント、お困りの状況に、会話の冒頭で反応し共感する事が何よりも重要なのです。お詫びする場合も、オウム返し+共感+お詫び+出来ない=OK、お詫び+出来ない=NGだと言えるでしょう。ご立腹されているお客様にはまずオウム返し+共感+お詫びで対応しましょう。中にはどんな対応をしても駄目なお客様もいますが、実践する事でかなり「上司を出せ」と言われる事が減ると思います。
お客様対応以外でも、相手の心情に配慮するよう心がけると人間関係が円滑になるのではないでしょうか。あなたが親の看病で数日間会社を休み、出勤した日に上司から言われた一言。
A「お母さんの具合どう?〇〇も無理しないでね。今日からまた宜しく。」
B「長い休みだったね。俺も休みたいよ。仕事溜まってるから早めに片付けてくれ。」
Aを聞いて、温かい気持ちになり、あーこの会社で良かったと思いませんか?
Bを聞いて悲しい気持ちになり上司に対して「イラッ」としませんか?人の心情に配慮しないと恨みを買ってしまいます。気をつけたいですね。
次のような事も、お客様をご立腹させる要因となります。
- 業務知識が足りずに何度も保留をかける。⇨常にあらゆる問い合わせに答えられるよう準備しておきましょう。
- お客様のプライドを傷つけるような質問をする。例えば料金の支払いが滞っていると電話してきたお客様に対して、〇〇は止まっていますか?などは絶対NG。⇨〇〇は問題なく使えていますか?などと柔らかい表現に変えるか、お客様自ら話すのを待つ。
- 聞きとりをする技術が足りずに何度も同じ質問をする。⇨断片的に話す方、住所を途中からしか言わない方など聞きとりに苦労する場合があります。ある程度情報収集したら、情報を整理して「こういう事でしょうか?」と質問したり、〇〇町は何県ですか?などと聞きとりした情報を整理し足りない部分は質問で補うようにするといいでしょう。話の内容が支離滅裂だったとしても、逐一立ち止まって、その都度聞き返しては、お客様も疲れてしまいます。話しの途中で何度も質問されると、途中で「もういい!」となってしまう事もあり得ます。お客様の話しをよく聞き、想像力を働かせてタイミングを見て効果的に質問しましょう。
受付者はお客様がどんなに苦情を言おうと、お困りだろうと、会社が決めたルールを勝手に変更したり出来ません。こうして欲しいという要望を聞いても、必ずできますと約束も出来ません。あくまで会社の窓口にすぎません。用件、要望に対してマニュアルに沿って対応する事が仕事ですが、お客様の心情に配慮し共感を声と言葉で表現する技術を常日頃から鍛えておくと、毎日の仕事がだいぶ楽になる事を実感すると思います。
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