何をやってもうまくいかない、いつも行き詰まってしまう、人並みの人生には程遠い、でもやっぱり人生あきらめたくない。そう思っている方にお勧めの本を見つけたので紹介します。決められた運命を、少しでも良くし、有意義に生きて行く方法は何か? 一般的な努力をしてもいつもうまくいかない人は、一生あきらめの気持ちで生きて行くしかないのか。何をやってもスイスイ行く人と、何をやっても躓く(つまずく)人の違いは何なのか。その疑問に答えてくれて、自分も他人も幸せになる方法を教えてくれる良書です。
400年ほど前に、中国の袁了凡(えん りょうぼん)が息子のために書いた「陰しつ録」を、日本語に翻訳した、「和語陰しつ録」を意訳した本です。こどもたちへとなっていますが、大人にも是非読んで頂きたいです。袁了凡が伝えたかったのは「人は善いことを行う事によって、自分ばかりでなく他人をも幸せにすることができる。それも人の目に触れるようにするのではなく、人知れず行うのだ(引用)」と言う事。袁了凡は、若い頃進路に迷っていました。受かるかどうかわからない試験に挑戦するか、父親と同じ医師の道に進む事を希望する母に従うか。すると偶然出会った老人から、必ず試験に合格すると予言され、予言通り試験に合格。その後も予言された通りの人生を歩んで数年たった頃、古い友人である僧から、生まれもって定められた運命から逃れる方法を教えられ、教えに従い、善行(ぜんぎょう)を重ねることにより、定められた寿命を超えて生き、予言では得られるはずがなかった子宝にも恵まれた。了凡が行った善行とは何か、具体的にはどうすればいいのかを、実例を上げ、詳しく書かれているのが、この本です。中でも巻末の付録、〜陰徳・積善を実践するために〜は、功過格(善行と悪行の基準)を著者が現代風に改めたもので、具体的でとてもいい内容なので、出版社の了解を得て掲載します。
引用
「善い行いの例」
100善 人の命を救う
30善 重病人を救護したり、介護、治療する
10善 捨てられていた動物を引き取って育てる
10善 公共に役立つ募金活動をする
10善 公共物を補修、清掃等を行う
5善 人のために献血をする
5善 ボランティア活動に積極的に参加する
3善 人に挨拶を忘れずマナーを守る
3善 先祖を大切にし墓参りなどをする
3善 家の手伝いなどをして、両親を助ける
3善 お年寄を大事にする
3善 体にハンディのある人を助ける
3善 友人や親との約束を守る
1善 落し物を見つけたら交番に届ける
1善 人に意地悪されても怒らず冷静に対応する
1善 友人や他人に親切にする
1善 人の善いところを褒める
1善 人の悪行や非行を諭しやめさせる
1善 ペットなど小動物をかわいがる
1善 病人を見舞う、悲しんでいる人をなぐさめる
1善 弟妹に勉強を教えたり、仲良くする
1善 靴を脱いだらそろえる
1善 トイレを綺麗に使う
1善 捕らえた魚や虫を放してやる
1善 親切にしてもらったら、ありがとうと言う
「悪い行いの例」
100悪 暴力を振るって人に怪我をさせる
50悪 動物を虐待したり、むやみに昆虫等、生き物の生命を奪う
30悪 他人の嫌がる事をしてわざと困らせる
30悪 公共物を壊し、使えないようにする
30悪 万引きをする
20悪 SNSなどに人の悪口を書き込む
20悪 人が置き忘れたお金や物品を自分の物とする
10悪 人の悪口を言って人を傷つける
10悪 親や先生にむやみに反抗する
5悪 学校や仕事を、断りなく遅刻、欠勤する
5悪 人のアドバイスを聞き入れずに腹を立てる
3悪 ゴミを散らかしたままにする
3悪 人との約束を破る、嘘をつく
3悪 公共の場で大声で話したり、騒いだりする
3悪 困っている人がいても見て見ぬふりをする
3悪 借りたお金や品物を返さない
3悪 他人の物を勝手に使用する
1悪 物を粗末に扱う
1悪 無駄遣いをする
1悪 お年寄りに席をゆずらない
1悪 自分の部屋を整理整頓しない
1悪 好き嫌いをして好きな物ばかりしか食べない
1悪 親切にされても感謝しない
1悪 並んでいる列に割り込む
1悪 呼ばれても返事をしない
1悪 赤信号を守らず横断歩道を渡る
引用元
こどもたちへ積善と陰徳のすすめ
著者 袁 了凡(えん りょうぼん)
意訳 三浦尚司 発行所 ㈱梓書院
善と悪を数字で示していますが、内容に照らせば、その重みは納得するものがあります。悪行のマイナスポイントが結構高いですね。人生に行き詰まり、自暴自棄になり、悪い行いを繰り返していたら、いつまで経っても人生が好転する事はないでしょう。腐らずに良い行いを積み重ねて徳を積む事を意識して生活していると、色々な良い変化が起きる事を、私は実感しています。環境も向こうから勝手に変わってきます。了凡の「人知れず良い事をする事は自分も他人も幸せにする」を実感しています。自分で出来る事から、実践してみましょう。袁了凡は三千善、一万善という目標を立て、生涯善行に取り組みました。悪行も漏れなく記録し、善行から差し引いていたのです。凄いですね。こういう事を皆が日頃から意識すれば、世の中はもっと穏やかで平和になる気がします。
この本を読んでから、気がついた事があります。現在活躍している著名人の中には、有名になる前に、人名救助をしたり、家族の介護を長年していたり、他人の子供のお世話をしていたり、自分以外の人に尽くす行動をしていた方が多い事。寄付を続けている方も多いですね。うちの職場で最近結婚した方が数人いますが、動物を長年大切に飼っていたり、祖父母を大切にしていたり、部下の指導を10数年していたり、長年献血をしていたり、日常的に他者ヘの行動をしているんですね。この本の教えが間違っていない事の証明になると思います。人の命を救う場面には、なかなか遭遇しないし、簡単にできる事ではありませんが、慈善団体に寄付をしたり、転倒などの事故防止のために道路の清掃をするなども、間接的には命を救う事になるのではないでしょうか。この本を読み、私も出来る事から実践中です。大きな事は出来ませんが、寄付・献血・公共道路の清掃・老人(親)に優しくする・道路の壊れを通報する・意地悪されても怒らずに冷静に対応する…などです。道路の清掃などは、前から気になっていて、ちょっと勇気がいりましたが、やり始めると結構楽しく充実感があります。出来る範囲で数年間善行を続けているうちに、私の内面、仕事、収入、人間関係、環境などに大きな変化がありました。家族とのコミュニケーションも良くなってきました。取り組み方は人それぞれだと思いますが、自分の運命を変えたいと思う方は、実践する事で感じる事があると思います。
私は若い頃から、私は何でこうなのかと色々と思い悩み、本を読み、知ったのが「徳」「陰徳」という言葉でした。では徳が少ない人間は、どういう方法で徳を積めばいいのかは、長い間わかりませんでした。その答えを示してくれたのが、この本です。不運を感じる人生であっても、他者のために活動する事で自分も幸せになっていく事を実感しています。何年も前から、この本の内容を実践したかったですね。今、子供から大人まで色々な問題が山積しています。時々大きな事件を起こしてしまう人がいるのは、迷える時にどう動けばいいのか、どう考えればいいのかをきちんと示すものがないからなのだと思います。そんな時に自分を支える一助として、この本を手に取って欲しいです。生きる事に苦しんでいる方、もっと人生を充実させたいと思っている全ての方に読んで頂きたいです。この本こそ、今の世の中に必要だと思います。私も悪い習慣を改めつつ、益々善行に取り組んでいきたいと思います。
和語陰しつ録は、20年以上前から名前は知っていました。しかしどこで入手すればいいかわからず、時間だけ経過しました。その本を私達にもわかるように意訳して出版して下さった三浦尚司様と、ブログへの掲載を許可して下さった㈱梓書院様に感謝します。ありがとうございます。
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